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消失解釈01:「長門の理想」説 ~わたしが望むわたし~

前の記事では、消失における「キョンはハルヒを選んで長門は否定された」という考えに対する反論と言う形で消失について考えてみました。
私の結論としては、キョンの視点では消失での選択はあくまで世界の選択であり、ハルヒや長門個人を選ぶという話ではない、となります。
以上をこれからの消失考察の前提にして、色々と考えていこうと思います。

以下ネタバレ含みます。

さて、消失世界とは何だったのか。
考えれば考えるほど悩ましいこの問題ですが、それを解き明かす第一の鍵はやはり「消失世界は通常長門にとってどんな世界なのか」でしょう。
この前提をどう考えるかによって後々の結論も全て変わってきます。

これは大きく分けて2つに分かれると思います。
1つは消失世界は長門の理想の世界であるという説
もう1つは消失世界は(長門から見た)キョンの理想の世界であるという説
後者は私の妄想みたいなものなので後回しにするとして、今日は1つめの「長門の希望」説についてすこし考えてみようと思います。

さて、某掲示板にて、唸らされた考え方がありました。
概要は以下のようなもの。

・実は「長門有希か涼宮ハルヒか」の選択を長門自身が迫っていた(=キョンに自分を選んで欲しかった)
・しかしキョンは長門の想いに気付かず、キョン視点では世界の選択になってしまった。
・屋上のシーンの「ユキ」はそんな二人のすれ違いの象徴。

正直、衝撃受けました。
そんな見方もあるのかーと。人間の想像力って凄いです。

面白い解釈だと思うので、前述の概要を前提としてお借りして、自分なりに考えなおしてみたいと思います。

この解釈の一番の疑問点。
それは、長門とハルヒをキョンに比較させたいにも関わらず、ハルヒとの比較対象になるべき自分(通常長門)を消してしまっているということでしょう。
自らを選んでほしいのに自らを消してしまうというのは少々おかしい。

だとすると、長門さんが「本当の自分じゃなくてもいい、わたしが作った理想の自分でもいいから選んでほしい」と考えて、理想の自分像である消失長門を作ったことになります。

……人間って余りこういうこと思いませんよね。
「自分が死んでもいいから、"自分ではない"理想の自分に幸せになってほしい」などとは。
近い概念で言うと、愛し合う男女の「生まれ変わっても一緒になろう」だとか、逆に結ばれず終わった男女の「生まれ変わったら今度こそ一緒になろう」といったところでしょうか。
長門さんは元の自分ではキョンに選ばれないことを確信して、自らを消滅させることでキョンに選ばれる可能性のある新しい自分(消失長門)を作った。

もちろん、そのアプローチが失敗することを長門さんは知っていました。
3年前の自分が世界修復の手助けをしていて、キョンが元の世界へ帰還することは既知なのだから。
それでも改変に踏み切ったのは……知っていても辞められない衝動か、それともキョンの答えを聞くことで割り切ろうとしたのか。

しかしその望みは叶わず、長門さんの想いはキョンに気付かれることはなかった。
キョンの中では「長門とハルヒの選択」は「世界の選択」にすり替わってしまうから。
こうして、長門の最初で最後のアプローチは、気付かれることも無く終わります。

消失解釈の中では一番厳しい、悲劇的な説になりますね。
しかしそうなると、その後の長門さんの行動(陰謀での同期拒否など)に説明がつかない。
消失事件全てが空回りに終わり、何も得るものがなかった長門さんが明確な意思表示で同期拒否に踏み切った理由は何か。
アプローチには気づかれなかったが、その代わりに大きなものを得たのではないか。だとしたらそれは何か。

その答えとして、
「自分自身が否定した自己という存在の、キョンによる肯定」
を挙げたい。

消失長門に銃を突きつけるシーンや屋上のシーンを思い出して欲しい。
確かに、長門さんが作りだした理想の自分(消失長門)はキョンに否定されたかもしれない。
でも、長門さん自らが否定した元の長門を、他ならぬキョンが肯定してくれた。

世界改変:長門による自分自身の否定
改変修正:キョンによる元の長門の肯定
という構図。

これは長門さんには予想外の出来事だったのではないだろうか。
消失世界がキョンによって修復されることを長門さんが知っていたのは前述のとおりですが、その先は同期不能なだけにどうなっているかわからない。
陰謀序章での未来の自分との同期も何故か拒否された。
つまり、何でも知っているはずの長門さんは、世界修復直後に限っては何も知らない状態だった。

そんな状態の時にキョンに会いに行ったわけですが、その時の長門さんはどんな気持ちだったのでしょう。
自分のしたことの重大さを考えれば、口汚く罵られることすら予想していたかもしれない。
ところが、キョンから帰ってきた言葉は「元の自分の肯定」だった。
これは素直に嬉しいでしょう。自分自身を否定し、理想の自分を創造してまで選んで欲しかった相手に、「本当の自分」を肯定されたわけなのだから。

だからこそ、理想の自分(消失長門)なら言えて、今までの自分には決して言えなかった言葉「ありがとう」が自然に言えたのではないだろうか。
陰謀序盤での「したくないから」という明確な意思表示もここに繋がってくる。同期拒否は過去の自分がその喜びを知る必要があるから。
その喜びを知ることで、長門さんは生まれ変わったと言えます。

屋上でのユキの演出。
「有希」と「雪」の齟齬。それは長門とキョンの距離を暗示する。
長門さんが提示した"本当の"選択肢に、キョンは気付かないまま終わったという「すれ違い」。

悲しいすれ違いではありますが、このすれ違いを経て、長門は変わる必要は無い、今のままの自分でいいということを知る。
消失は長門の夢が散る舞台ではなく、長門の夢が始まる舞台。
長門有希にとって、消失は彼女の物語の終わりなのではなく始まりなのだと思いたい。

<この説のまとめ>
・消失世界は通常長門さんにとってどんな世界なのか
 →自らの理想を具現化した世界
・なぜ長門さんは消失世界を作ったのか
 →キョンに、理想の自分とハルヒのどちらかを選んでもらいたかったから
・長門さんが提示した選択肢
 →消失長門か、涼宮ハルヒか
・キョンは何を選択したのか
 →世界(長門が提示した問いには答えなかったが、元の長門を肯定するという答えを出した)
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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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